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Vercel / Cloudflare Pages / AWS Amplify ─ Next.js を本番運用で選ぶ実務基準
同一ワークロードで9ヶ月運用して見えた月額3〜5倍の差と、選定を分ける4つの軸
📖 約10分 / 公開日: 2026/05/26
「Next.js をどこに乗せるか」で悩む案件が、直近半年で急増しています。Vercel は値上げと従量課金の重みで現場の悩みになり、Cloudflare Pages の Workers ベース構成が現実解として浮上し、AWS Amplify は AWS スタック前提の組織で再評価されている。3つを同一ワークロードで9ヶ月運用した結果、月額請求が最大で5倍開きました。何で選ぶべきか、現場の数字から整理します。
Vercel から始めます。Next.js の開発元が運営しているため、Server Actions、Edge Middleware、ISR、Image Optimization のすべてが「当然動く」品質で動きます。Pro プラン本体は月20ドル/メンバーですが、本番運用に入ると Function Invocations、Edge Middleware Invocations、Image Optimization Source、Bandwidth が個別に従量課金になる。月間500万PVのコーポレートサイト+ブログ案件で実測した月額は、Pro 本体60ドル、Bandwidth 超過280ドル、Function Invocations 170ドル、Image Optimization 90ドル。合計600ドル/月、当時のレートで約9.1万円でした。
このコスト構造を「高い」と切り捨てるのは早計です。Vercel が提供する Observability、Function Logs、Preview Deployments、Sentry/Datadog Integrations の出来は競合より頭ひとつ抜けている。エンジニア1人が月60時間を運用に取られる構成と、月20時間で済む構成では、人件費の差で簡単に逆転します。中小規模で開発リソースが薄い組織ほど Vercel が結果的に最安、というのは現場で何度も見てきた構造です。
Cloudflare Pages は、同じワークロードを月12ドルで動かしました。差額の8.9万円は年換算で107万円。無視できる金額ではない。仕組みとしては Cloudflare の CDN とほぼ同じインフラに静的アセットを載せ、SSR は Workers で動かす設計です。Workers Paid プラン5ドル/月と Pages のリクエスト課金(1,000万リクエストまで無料、超過は0.50ドル/100万)で、Bandwidth が完全無料という設計が効きます。動画や原寸画像配信が多いメディアサイトでは、これだけで Vercel から乗り換える経済合理性があります。
地雷もあります。Next.js の SSR を完全に動かすには @cloudflare/next-on-pages を経由する必要があり、Server Actions のうち Node.js 固有 API(fs、crypto.randomBytes、child_process)を直接叩くものは動きません。Workers の CPU 時間制限(無料50ms、Paid 30秒)もボディブローのように効いてくる。PDF 生成、画像変換、SSR 内での大量 JSON パースは、事前に Workers の外へ切り出しが必要です。next dev では動いていたコードが本番で500を返す事故は、移行案件で必ず数件は出ます。
AWS Amplify Hosting は、AWS スタックを既に使っている組織にとって選択肢に入ります。SSR は Lambda@Edge で動き、CloudFront を CDN として使う構成。月額固定費はかからず、ビルド時間0.01ドル/分、リクエスト0.30ドル/100万、配信データ0.15ドル/GB の従量。同じ500万PVのワークロードで月210ドル、約3.1万円でした。Vercel より大幅に安く、Cloudflare Pages よりは高い中間ポジションです。
Amplify の本当の価値は、Cognito、AppSync、DynamoDB、S3 との IAM 連携が標準で組み込まれていること。社内システムや BtoB SaaS で、認証・データ・ストレージを全部 AWS で揃える案件では Amplify が現実解になります。一方、Next.js 14 の最新機能サポートは Vercel と比較すると遅れており、Server Actions のサポートが安定したのは2024年中盤、ISR の挙動は公式ドキュメントに今でも「ベストエフォート」と書かれている。Next.js のロードマップに追随したい組織には向きません。
判断軸を3点に絞ります。Next.js の最新機能をフルに使う開発組織は Vercel。Bandwidth が大きく、コスト最適化が最優先のメディア・EC は Cloudflare Pages。AWS スタックで統一したい組織と、IAM 連携が必須の BtoB 案件は AWS Amplify。これがざっくりの基準です。
見落とされがちなのが、ビルド時間の課金です。Vercel は Pro で月6,000分まで無料、超過は0.0083ドル/分。Cloudflare Pages は月500ビルド無料、追加は5ドル/月で5,000ビルド。Amplify は0.01ドル/分の従量。モノレポで頻繁にデプロイする組織、PR ごとに Preview を立てる開発フローでは Vercel が一番痛みが少ない。逆に週1回程度しかデプロイしないコーポレートサイトなら、どれを選んでも誤差です。
Vendor Lock-in の観点も重要です。Next.js の Server Actions と Edge Middleware を多用するほど Vercel から離れにくくなる。Cloudflare Pages も KV、D1、R2、Durable Objects に依存し始めると同じ事になります。Amplify は AWS の他サービスに密結合する性質上、最初から覚悟が要る。脱却コストを意識するなら、Server Actions の中身は薄く保ち、ビジネスロジックは外部 API に切り出しておくのが定石です。
監視と障害対応のしやすさも、選定で軽視されがちな項目です。Vercel は Observability タブが標準装備で、Function ログがリアルタイムで見られる。Sentry や Datadog との接続も Integrations から数クリック。Cloudflare Pages はリアルタイムログを見るのに wrangler tail を CLI で叩く必要があり、本番障害の最中にこれを動かすのは慣れていないと辛い。Amplify は CloudWatch Logs に流れるので AWS スタックに慣れた人なら扱いやすいが、Logs Insights のクエリ言語の学習曲線は急です。
価格表の数字だけを比較する選定は、半年後に必ず後悔します。9ヶ月運用してわかったのは、Vercel が高いのではなく、Vercel は「開発体験と障害対応のしやすさをカネで買っている」という構造に近い。逆に大規模配信で開発体制が厚い組織は、Cloudflare Pages への移行で年100万円超のコスト削減が現実的に取れる。Amplify は AWS スタックとの統合価値で選ぶ機会が中心で、コストや開発体験で選ぶ第一候補にはなりにくい、というのが現時点での結論です。
選定で最後に効いてくるのは、半年後・1年後の運用負荷を想定できているかどうかです。Vercel のダッシュボードを見れば請求の内訳が一目でわかるのに対し、Cloudflare Pages と Amplify は別サービスとの組み合わせで請求が分散します。コスト監視のアラート設計まで含めて、移行前に必ず詰めておくことを推奨します。
Vercel から始めます。Next.js の開発元が運営しているため、Server Actions、Edge Middleware、ISR、Image Optimization のすべてが「当然動く」品質で動きます。Pro プラン本体は月20ドル/メンバーですが、本番運用に入ると Function Invocations、Edge Middleware Invocations、Image Optimization Source、Bandwidth が個別に従量課金になる。月間500万PVのコーポレートサイト+ブログ案件で実測した月額は、Pro 本体60ドル、Bandwidth 超過280ドル、Function Invocations 170ドル、Image Optimization 90ドル。合計600ドル/月、当時のレートで約9.1万円でした。
このコスト構造を「高い」と切り捨てるのは早計です。Vercel が提供する Observability、Function Logs、Preview Deployments、Sentry/Datadog Integrations の出来は競合より頭ひとつ抜けている。エンジニア1人が月60時間を運用に取られる構成と、月20時間で済む構成では、人件費の差で簡単に逆転します。中小規模で開発リソースが薄い組織ほど Vercel が結果的に最安、というのは現場で何度も見てきた構造です。
Cloudflare Pages は、同じワークロードを月12ドルで動かしました。差額の8.9万円は年換算で107万円。無視できる金額ではない。仕組みとしては Cloudflare の CDN とほぼ同じインフラに静的アセットを載せ、SSR は Workers で動かす設計です。Workers Paid プラン5ドル/月と Pages のリクエスト課金(1,000万リクエストまで無料、超過は0.50ドル/100万)で、Bandwidth が完全無料という設計が効きます。動画や原寸画像配信が多いメディアサイトでは、これだけで Vercel から乗り換える経済合理性があります。
地雷もあります。Next.js の SSR を完全に動かすには @cloudflare/next-on-pages を経由する必要があり、Server Actions のうち Node.js 固有 API(fs、crypto.randomBytes、child_process)を直接叩くものは動きません。Workers の CPU 時間制限(無料50ms、Paid 30秒)もボディブローのように効いてくる。PDF 生成、画像変換、SSR 内での大量 JSON パースは、事前に Workers の外へ切り出しが必要です。next dev では動いていたコードが本番で500を返す事故は、移行案件で必ず数件は出ます。
AWS Amplify Hosting は、AWS スタックを既に使っている組織にとって選択肢に入ります。SSR は Lambda@Edge で動き、CloudFront を CDN として使う構成。月額固定費はかからず、ビルド時間0.01ドル/分、リクエスト0.30ドル/100万、配信データ0.15ドル/GB の従量。同じ500万PVのワークロードで月210ドル、約3.1万円でした。Vercel より大幅に安く、Cloudflare Pages よりは高い中間ポジションです。
Amplify の本当の価値は、Cognito、AppSync、DynamoDB、S3 との IAM 連携が標準で組み込まれていること。社内システムや BtoB SaaS で、認証・データ・ストレージを全部 AWS で揃える案件では Amplify が現実解になります。一方、Next.js 14 の最新機能サポートは Vercel と比較すると遅れており、Server Actions のサポートが安定したのは2024年中盤、ISR の挙動は公式ドキュメントに今でも「ベストエフォート」と書かれている。Next.js のロードマップに追随したい組織には向きません。
判断軸を3点に絞ります。Next.js の最新機能をフルに使う開発組織は Vercel。Bandwidth が大きく、コスト最適化が最優先のメディア・EC は Cloudflare Pages。AWS スタックで統一したい組織と、IAM 連携が必須の BtoB 案件は AWS Amplify。これがざっくりの基準です。
見落とされがちなのが、ビルド時間の課金です。Vercel は Pro で月6,000分まで無料、超過は0.0083ドル/分。Cloudflare Pages は月500ビルド無料、追加は5ドル/月で5,000ビルド。Amplify は0.01ドル/分の従量。モノレポで頻繁にデプロイする組織、PR ごとに Preview を立てる開発フローでは Vercel が一番痛みが少ない。逆に週1回程度しかデプロイしないコーポレートサイトなら、どれを選んでも誤差です。
Vendor Lock-in の観点も重要です。Next.js の Server Actions と Edge Middleware を多用するほど Vercel から離れにくくなる。Cloudflare Pages も KV、D1、R2、Durable Objects に依存し始めると同じ事になります。Amplify は AWS の他サービスに密結合する性質上、最初から覚悟が要る。脱却コストを意識するなら、Server Actions の中身は薄く保ち、ビジネスロジックは外部 API に切り出しておくのが定石です。
監視と障害対応のしやすさも、選定で軽視されがちな項目です。Vercel は Observability タブが標準装備で、Function ログがリアルタイムで見られる。Sentry や Datadog との接続も Integrations から数クリック。Cloudflare Pages はリアルタイムログを見るのに wrangler tail を CLI で叩く必要があり、本番障害の最中にこれを動かすのは慣れていないと辛い。Amplify は CloudWatch Logs に流れるので AWS スタックに慣れた人なら扱いやすいが、Logs Insights のクエリ言語の学習曲線は急です。
価格表の数字だけを比較する選定は、半年後に必ず後悔します。9ヶ月運用してわかったのは、Vercel が高いのではなく、Vercel は「開発体験と障害対応のしやすさをカネで買っている」という構造に近い。逆に大規模配信で開発体制が厚い組織は、Cloudflare Pages への移行で年100万円超のコスト削減が現実的に取れる。Amplify は AWS スタックとの統合価値で選ぶ機会が中心で、コストや開発体験で選ぶ第一候補にはなりにくい、というのが現時点での結論です。
選定で最後に効いてくるのは、半年後・1年後の運用負荷を想定できているかどうかです。Vercel のダッシュボードを見れば請求の内訳が一目でわかるのに対し、Cloudflare Pages と Amplify は別サービスとの組み合わせで請求が分散します。コスト監視のアラート設計まで含めて、移行前に必ず詰めておくことを推奨します。